冬になると、なぜか体が重い。
寝ても疲れが取れず、
風邪でもないのに調子が悪い日が続く——。
「年のせいかな」
「忙しいから仕方ないよね」
そうやってやり過ごしながら、
気づけば毎年、同じ不調を繰り返している。
そんな感覚はありませんか。
私が看護師として多くの方を見てきて感じるのは、
冬の不調でいちばんつらいのは
体調そのものより、“どうしたらいいかわからない不安”だということです。
健康法を調べては、
できなかった自分にがっかりして。
「ちゃんとしなきゃ」と思うほど、
心も体も疲れてしまう——。
でも、冬バテ対策に
がんばりや根性は必要ありません。
この季節に本当に大切なのは、
体を変えることではなく、
「これ以上、消耗させない暮らし方」を選ぶこと。
完璧じゃなくていい。
全部やらなくていい。
この冬を、少しでも楽に越えるために。
今日からできる
“体を守る習慣”を、ここからお伝えします。
冬バテ対策の前に知っておきたい大切な考え方
冬バテ対策というと、
「何かを足さなきゃ」「ちゃんとやらなきゃ」
そんなイメージを持っている方が多いかもしれません。
でも実は、
冬バテ対策のスタートは“行動”ではなく“考え方”です。
ここを間違えると、
どんなに良い健康法を知っても、
続かず、疲れて、自己嫌悪だけが残ってしまいます。
❄ 冬は「回復」より「防御」の季節
春や夏は、体を整えたり、鍛えたりしやすい季節。
一方で冬は、何もしなくても体力が削られていく季節です。
寒さ・乾燥・日照時間の短さ。
年末年始の忙しさや、人付き合いの疲れ。
これだけで、体はすでにフル稼働しています。
だから冬は、
「元気になること」より「これ以上弱らせないこと」
を意識するだけでいいのです。
🕊 守る、減らす、休ませる。
それが、冬にいちばん合った対策です。
🌱 一気に変えようとしない
・生活リズムを整えよう
・運動しよう
・食事も気をつけよう
気づくと、
「やることリスト」が増えていませんか?
でも、冬にそれを全部やろうとすると、
体より先に、気持ちが折れてしまいます。
大切なのは、
“できそうなことを、ひとつだけ”選ぶこと。
腹巻きだけ。
起きる時間だけ。
早く寝る日を週に一日だけ。
それで十分、体は「守られている」と感じてくれます。
☁ できない日があっても×をつけない
冬は、どうしても調子の波が出ます。
昨日できたことが、
今日はできない。
そんな日も、必ずあります。
そのたびに、
「またできなかった…」と自分を責めてしまうと、
心の消耗が一気に進みます。
冬のセルフケアに、
○も×も、いりません。
戻れたら、それで合格。
続けられなくても、やめなければいい。
🕊 「がんばる対策は、長続きしません。」
やさしく続けられる考え方こそ、冬バテ対策の土台です。
冬バテを防ぐ基本習慣①【体を冷やさない】

冬の体調不良は、風邪やインフルだけが原因ではありません。
「なんとなく不調」「疲れが抜けない」「気分が沈む」…
そんな冬バテの背景に、“冷え”が隠れていることはとても多いです。
冷えは、痛みや熱のように派手なサインを出しません。
だからこそ気づきにくく、気づいた頃には体力がじわじわ削られていることも。
🕯
冬バテ対策の第一歩は「温める」ではなく「冷やさない」こと。
🧣 首・お腹・足首を守る理由
冷え対策というと「厚着」を思い浮かべがちですが、
実はポイントは“部位”です。
- ✅ 首:太い血管が通り、自律神経にも影響しやすい
- ✅ お腹:内臓が冷えると、消化・吸収や回復力が落ちやすい
- ✅ 足首:末端が冷えると血流が滞り、全身が冷えやすい
「とりあえず厚着」より、
首・お腹・足首を“薄くてもいいから守る”方が効率的です。
おすすめは、こんな小さな工夫。
- 🧣 首:薄手のマフラー/ネックウォーマー(室内でもOK)
- 🧡 お腹:腹巻き(締めつけないもの)
- 🧦 足首:レッグウォーマー/靴下の重ね履き(蒸れない素材)
“冷やさない”は、体へのやさしい防御です。
🏠 室内外の温度差を減らす工夫
冬の体調不良対策で見落とされがちなのが、
「寒さ」より「温度差」です。
外の冷気 → 暖房の効いた部屋 → 冷えた廊下やトイレ。
この行き来を繰り返すだけで、体は調整にエネルギーを使い続けます。
🌿 温度差を小さくするコツ
- 🪟 窓の冷気を減らす:厚手カーテン/窓際にラグやマット
- 🚪 廊下・脱衣所を冷やしすぎない:小型ヒーターや湯たんぽの活用
- 👕 脱ぎ着しやすい重ね着:室内で汗をかかない温度に
ポイントは、
「暖かくする」より「寒暖差で疲れない」環境づくり
です。
🫧 「寒くない」が自律神経を守る
「少し寒いくらいが健康にいい」
そんな言葉を聞くこともありますが、冬バテしやすい人には負担になることがあります。
体が寒さを感じると、
血管を縮めて熱を逃さないように頑張ります。
これは“防御反応”として大切な働きですが、続くと疲れます。
だからこそ冬は、
「寒くない状態」を長く保つことが、自律神経の休息につながります。
☕ 目安はシンプル。
手足が冷たくない/肩に力が入っていない/呼吸が浅くない
この3つが保てていたら、あなたの体はちゃんと守られています。
🕊 「冷えは、静かに体力を奪います。」
今日のあなたを守るために、まずは“冷やさない”から始めましょう。
冬バテを防ぐ基本習慣②【生活リズムを崩さない】

冬は、日照時間が短くなり、寒さで動く量も減りやすい季節。
その結果、気づかないうちに生活リズムがずれて、体調不良につながることがあります。
ここで大切なのは、
「整えきる」ことではなく、「崩れにくくする」こと
です。
🕯 冬のリズムは、ちょっと乱れやすい。
だからこそ、戻れる“支点”を作ってあげましょう。
⏰ 起きる時間だけは一定に
「早寝早起き」が理想なのはわかっている。
でも冬は、疲れていたり、眠りが浅かったりして、思い通りにならない日もありますよね。
そんなとき、いちばん効果が大きいのが
“起きる時間だけ”をなるべく一定にすることです。
寝る時間が多少ずれても、
起きる時間が安定すると、体内時計は大きくは崩れません。
- ✅ 平日と休日の差は1〜2時間以内を目標に
- ✅ 眠くてもカーテンを開けて「朝」を入れる
- ✅ どうしても眠い日は、昼寝は20分を目安に
ポイントは、完璧にすることではなく、
体が迷子にならない“目印”を残すことです。
🌤 朝の光が自律神経を整える
冬に気分が沈みやすかったり、朝がつらく感じたりするのは、あなたの意志が弱いからではありません。
それだけ光が少ない季節なのです。
朝の光には、体内時計をリセットし、
自律神経の切り替え(眠る→起きる)を助ける働きがあります。
🌿 おすすめの“朝の光”ルーティン
- 🪟 起きたら1分でいいのでカーテンを開ける
- 🚶 可能ならベランダ・玄関先に出て深呼吸
- ☕ 温かい飲み物を一口飲んで、「朝」を体に知らせる
小さなことで十分です。
光は、体に「今日の始まり」をそっと教えてくれます。
🌙 夜ふかしを責めない考え方
冬は、日中にエネルギーを消耗しやすく、
夜になると反動でスマホを見続けたり、つい夜ふかししてしまうことがあります。
そして翌朝、自己嫌悪。
「またやっちゃった…」と責める。
この流れが、冬の消耗を大きくします。
ここで大事なのは、
夜ふかしをゼロにすることではなく、回復の導線を作ることです。
🫧
「責めない → 1つだけ戻す」これが冬の正解
- 📵 寝る直前のスマホが難しいなら、5分だけ画面を暗くする
- 🛁 お風呂が無理なら、首を温めるホットタオルだけ
- 🧸 眠れない日は「寝る努力」をやめて、横になるだけでもOK
たとえ乱れても、
戻れるなら、生活は崩れていません。
🕊 「完璧な生活より、戻れる生活を。」
冬は、そのやさしさが体を救います。
冬バテを防ぐ基本習慣③【疲れを溜め込まない】

冬になると、
「特別なことはしていないのに、ずっと疲れている」
そんな感覚が続くことはありませんか。
それは気のせいではなく、
冬という季節そのものが、疲れを溜め込みやすいからです。
❄ 寒さで体は緊張し、
☁ 日照不足で心はエネルギー不足に。
冬は、意識しないと「回復する時間」が消えていきます。
だからこそ、冬バテ対策では
疲れないように頑張るのではなく、疲れを溜めない工夫
がとても大切です。
🛌 休むことも「対策」
忙しいと、つい後回しにしてしまう「休む時間」。
でも、冬にいちばん必要なのは、実はこの時間です。
休むというと、
「ちゃんと寝る」「しっかり休暇を取る」
そんなイメージがあるかもしれません。
でも実際は、もっと小さな休みで大丈夫。
- 🪑 何もせず、5分座って目を閉じる
- ☕ 温かい飲み物を、スマホを見ずに飲む
- 🫧 深呼吸を3回、ゆっくり行う
こうした小さな休息が、
自律神経に「もう頑張らなくていいよ」と伝えてくれます。
🕊 休むことは、回復へのスイッチ。
何もしない時間は、体にとって無駄ではありません。
🔄 こまめなリセット習慣
疲れは、
「一気にドッと溜まる」より、
少しずつ、気づかないうちに溜まっていくことがほとんどです。
だから冬は、
疲れ切る前にリセットする習慣が役に立ちます。
🌿 今日からできるリセット例
- 🧘 肩をすくめてストンと落とす ×3回
- 🚶 トイレや給湯室まで、意識してゆっくり歩く
- 🪟 窓の外を10秒眺めて、目を休める
「疲れてから」ではなく、
疲れそうだな、の手前で止まる。
それが、冬バテを防ぐコツです。
📅 週に一度の“回復日”をつくる
毎日きちんと休めなくても大丈夫。
その代わり、週に一度だけ、回復のための日を作ってみてください。
回復日は、何かを頑張る日ではありません。
- 🧺 家事は最低限でOK
- 📺 目的のない時間をあえて作る
- 🛀 少し長めのお風呂や、早めの就寝
「この日は休んでいい」と決めておくだけで、
体と心は先の見える安心感を持てます。
🕊 「休むことは、怠けではありません。」
冬を越えるための、大切な準備です。
冬バテを防ぐ基本習慣④【無理のない体の動かし方】

「運動しなきゃ」と思うだけで、
少し気が重くなる——。
冬は特に、そんな気持ちになりやすい季節です。
寒さで体は縮こまり、
外に出るハードルも高くなる。
動けないのは、意志の問題ではありません。
🧸 冬の体は、
「頑張って動く」より
「そっと動かしてもらう」方が、喜びます。
冬バテ対策の運動は、
健康のために無理をするものではありません。
🏃 激しい運動はいらない
汗をかくほどの運動や、
息が上がるトレーニング。
それが好きな人はもちろんOKですが、冬バテ対策としては必須ではありません。
むしろ冬は、
急に体を動かすことで、
疲労や不調が強く出てしまうこともあります。
冬に必要なのは、
筋力アップより、血流アップ。
体を「温める」「巡らせる」ことができれば、
それだけで十分、冬バテ対策になります。
🚶 「動かない」より「少し動く」
一日中ほとんど動かなかった日。
そんな日は、夜になると
体が重く、眠りも浅くなりがちです。
だから意識したいのは、
ゼロを作らないこと。
🌿 こんな「少し」で大丈夫
- 🪑 椅子から立ち上がって、背伸びをする
- 🧘 首・肩をゆっくり回す
- 🚶 家の中を1分だけ歩く
「これくらい意味あるの?」
そう思うかもしれません。
でも体は、
“動いた”という事実をちゃんと覚えています。
❄ 冬に合った運動の考え方
夏と同じ感覚で、
運動を続けようとしなくて大丈夫。
冬は、
体を起こす季節ではなく、つなぐ季節。
🧣 冬に合う動かし方のキーワードは、
- 🫧 ゆっくり
- 🧸 あたたかく
- 🌱 短くてもOK
ストレッチを30秒。
ラジオ体操を途中まで。
それだけでも、体は固まりきらずに済みます。
🕊 「動く量は、少なくていい。」
冬は、体にやさしい動きがいちばんの正解です。
冬バテ対策は「全部やらなくていい」
ここまで読んで、
「これならできそうかも」と感じた一方で、
「でも、全部は無理かも…」と思った方もいるかもしれません。
先にお伝えしますね。
冬バテ対策は、全部やらなくて大丈夫です。
🕊 むしろ、
全部やろうとするほど、
体も心も疲れてしまいます。
🌱 1つ守れたら十分
冷え対策。
生活リズム。
休むこと。
少し動くこと。
どれも大切ですが、
同時に全部できなくていいのです。
今日できたのが、
「首を冷やさなかった」だけでも。
「早めに布団に入った」だけでも。
それはもう、立派な冬バテ対策。
🌿
1つ守れたら、その日は合格。
体は、
「できなかったこと」より、
「守られた感覚」をちゃんと覚えています。
🧸 続けられた習慣が、体を支える
特別な健康法より、
高価なアイテムより。
本当に体を支えてくれるのは、
あなたが続けられた、小さな習慣です。
・毎日じゃなくてもいい
・完璧じゃなくていい
・途中で休んでもいい
それでも、
「やめなかった」ことは、
体の中でちゃんと積み重なっています。
🫧 冬は、成果を出す季節ではありません。
土台を守る季節です。
🌸 春の自分を助ける視点
今はまだ、
体調がすっきりしないかもしれません。
でもこの冬、
「これ以上つらくならない選択」を
ひとつでも重ねられたなら。
それは、
春になったときのあなたを、
きっと助けてくれます。
🌱 今は変わらなくていい。
消耗しなかったことが、次につながります。
🕊 「続けられることが、正解です。」
あなたのペースで、この冬を越えていきましょう。
まとめ
ここまで読み進めてくださって、ありがとうございます。
たくさんの対策が出てきましたが、
最後に、いちばん大切なことをまとめますね。
🌿 冬バテ対策は「消耗を防ぐ」こと
冬は、
元気を増やそうとする季節ではありません。
寒さや忙しさの中で、
これ以上、体と心をすり減らさないこと
それが、いちばんの冬バテ対策です。
回復できなくてもいい。
変われなくてもいい。
消耗しなかったことが、
この冬を越えるための、確かな成果です。
🧸 特別なことより、「やめる工夫」
新しい健康法を始めなくても大丈夫。
できない自分を責める必要もありません。
それよりも、
体を冷やしすぎない。
無理に頑張らない。
疲れきる前に休む。
こうした
「これ以上つらくならない選択」を
ひとつずつ、重ねていくだけでいいのです。
🌱 自分を守る選択を重ねる
できた日も、できなかった日も。
あなたは、この冬をちゃんと生きています。
今日できることは、
たったひとつで十分。
首を温める。
早めに布団に入る。
何もしない時間をつくる。
その小さな選択が、
春のあなたを、そっと助けてくれます。
🕊
この冬は、
体を変えようとしなくていい。
ただ、
「これ以上つらくならない道」を
ひとつ選んでみてください。
❓ FAQ(よくある質問)
ここでは「冬バテ対策」に関するよくある疑問を、やさしく整理します。
気になるところだけでもOKです🌿
冬バテ対策はいつから始めるのがいい?
A. 「気づいた今」がいちばんの始めどきです。
冬バテ対策は、何かを一気に増やすよりも、消耗を減らすことが大切。
まずは「冷やさない」「起きる時間を整える」「疲れを溜めない」のうち、ひとつだけ選んでみてください。
仕事が忙しくてもできる冬バテ対策は?
A. 忙しいときほど、「増やさない対策」がおすすめです。
たとえば、首・お腹・足首のどれか1つを守る/休憩を5分だけ入れる/朝にカーテンを開けるなど。
「できる範囲で続くこと」が、いちばん効果のある冬バテ対策になります。
家族にも同じ対策をして大丈夫?
A. 基本の考え方(冷やさない・休む・リズムを守る)は、家族にも役立ちます。
ただし、年齢・持病・体調によって合う方法は変わります。
特に高齢の方、妊娠中の方、治療中の方は、無理のない範囲で行い、心配があれば医療機関に相談してください。
⚠ 注意書き
本記事は、冬バテ対策に関する一般的な健康情報を目的とした内容です。
医療行為・診断・治療を目的としたものではありません。
体調不良が強い場合・長引く場合、
または持病がある方・妊娠中・服薬中の方は、
自己判断せず、必ず医療機関や専門家へご相談ください。
📚 参考・監修情報
本記事の内容は、以下の公的機関・専門機関が発信する情報、ならびに筆者の医療現場での経験をもとに構成しています。
-
厚生労働省|生活習慣・健康づくりに関する情報
https://www.mhlw.go.jp/
-
世界保健機関(WHO)|健康的な生活習慣に関するガイドライン
https://www.who.int/


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