健康診断で、
「脂肪肝ですね」と言われたその帰り道。
頭に浮かんだのは、
何か始めなきゃという、焦りにも似た気持ちだったかもしれません。
スーパーで手に取った野菜ジュース。
「野菜、足りてないし」
「体にいいって聞くし」
——そう思って選んだ、その一本。
ところが、
野菜ジュースを毎日飲んでいるのに、
肝機能の数値が思うように下がらない人がいる。
中には、むしろじわっと悪化してしまう人もいました。
「ちゃんと気をつけているのに、どうして?」
その答えは、
野菜ジュースが悪いからではありません。
あなたの努力が間違っていたわけでも、ありません。
ただひとつ、
肝臓の気持ちを、少しだけ聞き逃していただけ。
この記事では、
野菜ジュースを否定することはしません。
やめさせるための記事でもありません。
お伝えしたいのは、
「本当に肝臓が楽になる選び方・飲み方」。
良かれと思って続けてきた習慣を、
そっと“肝臓目線”に整えるための、
静かなヒントをお届けします。
結論:脂肪肝でも野菜ジュースは「条件付きでOK」

先に、いちばん大事なことをお伝えしますね🍃
脂肪肝と言われたからといって、
野菜ジュースを完全にやめる必要はありません。
ただし——
「無条件にOK」ではない、というのが正直な答えです。
よくあるのが、こんな思い込みです👇
- ❌ 野菜だから、たくさん飲むほど体にいい
- ❌ ジュースなら吸収が良くて肝臓にやさしい
- ❌ これさえ飲んでいれば安心
実はこれ、
肝臓にとっては少しだけ、しんどい優しさになることがあります。
一方で、こんな考え方に切り替えるとどうでしょう🌱
- ⭕ 今の肝臓の状態に合っているか
- ⭕ どんな種類を、どれくらいか
- ⭕ いつ、どんなタイミングで飲んでいるか
この3つが整えば、
野菜ジュースは「敵」ではなく「補助役」になります。
「野菜ジュースの量を少し減らして、
飲むタイミングを変えただけで、
数値がゆっくり動き始めた」
大きなことをしなくてもいい。
完璧を目指さなくてもいい。
体にいいものほど、
“使い方”が、未来を分ける
次の章では、
なぜ脂肪肝の人にとって野菜ジュースが
「思わぬ落とし穴」になりやすいのかを、
肝臓の働きから、やさしく解きほぐしていきます🫶
なぜ脂肪肝の人に野菜ジュースが問題になりやすいのか

「野菜なのに、どうして?」
ここで、そう感じた方も多いと思います。
答えのカギは、
肝臓と“糖”の関係にあります🧠
● 肝臓は、糖の“最終処理場”
私たちが口にした糖質は、
体の中でエネルギーとして使われます。
でも、余った分はどうなるかというと——
その多くを引き受けるのが、肝臓です。
肝臓はとても働き者。
血糖を調整し、栄養を貯蔵し、解毒もこなす。
ただし、
一気に大量の糖が届くのは、正直つらいのです。
● 野菜ジュースに含まれる「果糖」の特徴
野菜ジュースが問題になりやすい理由のひとつが、
果糖(フルクトース)です🍎
果糖は、血糖値を急に上げにくい反面、
ほぼ肝臓だけで処理されるという特徴があります。
つまり——
果糖が多い飲み物を一気に飲む
→ 肝臓に負担が集中する
→ 使い切れなかった分が中性脂肪へ
これが、
脂肪肝が改善しにくくなる流れです。
● 「噛まない糖」は、ブレーキがきかない
もうひとつ、大事なポイントがあります。
それは、噛むか・噛まないか。
食べ物を噛むと、
✔ 満腹中枢が刺激される
✔ 消化・吸収がゆっくり進む
でも、野菜ジュースはどうでしょう。
噛まない
↓
短時間で吸収
↓
肝臓に一気に到着
私はよく、こう表現します。
野菜ジュースは、
やさしい顔をした“急行列車”みたいなもの。
本来なら、各駅停車で少しずつ届いてほしい栄養が、
ノンストップで肝臓に押し寄せてしまうのです。
だからこそ、脂肪肝の人にとっては——
「体にいいはず」の飲み物が、思わぬ負担になることがある。
次の章では、
市販の野菜ジュースにありがちな“3つの落とし穴”を、
もっと具体的に見ていきます🧃
「じゃあ、どれを選べばいいの?」
その答えが、少しずつ見えてきますよ。
市販の野菜ジュースにありがちな3つの落とし穴

野菜ジュースそのものが悪いわけではありません。
でも、市販品には「気づきにくい落とし穴」があるのも事実です。
ここでは、外来で本当によく見た
“脂肪肝さんがハマりやすい3つ”をお伝えしますね🧃
実は「果物が多い」
「甘くて飲みやすい」
——この時点で、肝臓は少しだけ身構えています。
多くの市販野菜ジュースには、
りんご・ぶどう・バナナなどの果物が使われています。
もちろん果物自体は悪くありません🍎
ただし——
果物が多い
= 果糖(フルクトース)が多い
= 肝臓に負担が集中しやすい
注意したいのは、
「砂糖不使用」という表示。
砂糖が入っていなくても、
果物由来の糖は、しっかり含まれています。
▶ 原材料表示は「多い順」
最初のほうに果物が並んでいたら、
脂肪肝の人には“やや甘め”かもしれません。
食物繊維は、思ったより少ない
「野菜=食物繊維たっぷり」
そう思っていませんか?
実は、ジュースにする過程で——
- 🥬 不溶性食物繊維が取り除かれる
- 🦷 噛む刺激がなくなる
その結果、
・血糖の上昇が早くなる
・腸の動きが弱くなる
腸と肝臓は、実はとても仲良し。
腸内環境が乱れると、
その影響は静かに肝臓へ届きます。
「飲めば整う」わけではない
ここは、少し知っておいてほしいポイントです。
「飲んだから安心」で食事が乱れる
これは、いちばん多く、
いちばん気づきにくい落とし穴です。
- 野菜ジュース飲んだから
- 今日は野菜OKな気がする
- ごはんは適当でいいや
でも肝臓は、
“帳尻合わせ”がとても苦手。
一日のどこかで急に負担が増えると、
そのツケを、黙って引き受けてしまいます。
だからこそ、
野菜ジュースは「主役」ではなく、
あくまで補助役
この距離感が、脂肪肝改善ではとても大切です。
ここまで読んで、
「じゃあ、結局どう選べばいいの?」
「やめた方がいいの?」
そんな声が聞こえてきそうですね。
次の章では、
それでも飲みたい人のための
“脂肪肝向け・野菜ジュースの選び方”を、
具体的にお伝えします🍃
我慢ではなく、
肝臓がほっとする選択を一緒に見つけましょう。
それでも飲みたい人へ|脂肪肝向け野菜ジュースの選び方

ここまで読んで、
「やっぱり野菜ジュース、だめなのかな……」
そう感じた方もいるかもしれません。
でも、安心してください🍀
やめるか・やめないかの二択ではありません。
大切なのは、
肝臓の負担を増やさない“選び方と距離感”です。
● まず見るのは「原材料表示」
パッケージの表より、
裏側の原材料表示を見てください🔍
原材料は、
使われている量が多い順に並んでいます。
✔ 野菜が先頭に来ている
✔ 果物は後半、または少量
✔ 「りんご・ぶどう」が最初に並んでいない
この3つを満たしていれば、
脂肪肝の人にとっては比較的やさしい選択です。
● 「1日の適量」はコップ1杯まで
体にいいものほど、
“摂りすぎ”が負担になる。
目安は——
🧃 1日コップ1杯(約200ml)まで
毎日2本、3本と飲んでいるなら、
それだけで肝臓は休む暇がありません。
「減らす」だけでも、
数値が動き出す人は少なくありません。
● 飲むタイミングは「空腹時」を避ける
脂肪肝の人が、
特に避けたいのが空腹時の一気飲みです⚠️
空腹の状態では、
- 吸収が早くなる
- 糖が一気に肝臓へ届く
おすすめは👇
✔ 食事と一緒に
✔ もしくは食後に少量
これだけで、
肝臓への“急な負担”はぐっと減ります。
覚えておいてほしいのは、これです。
ゼロか100かじゃなくていい。
70点のやさしさを、毎日続ける。
次の章では、
野菜ジュースよりも肝臓が喜ぶ
“もっとシンプルな選択”をご紹介します🍲
実はそこに、
改善の近道が隠れていることも多いのです。
野菜ジュースより肝臓が喜ぶ“代わりの選択”

ここまで読んで、
「じゃあ、野菜ジュースの代わりに何を選べばいいの?」
そんな疑問が浮かんできたかもしれません。
実は、答えはとてもシンプルです🍲
肝臓がいちばん安心するのは、
“噛めて・温かくて・ゆっくり入ってくるもの”
● 温かい野菜スープ
脂肪肝の方に、私がまずおすすめするのが
温かい野菜スープです🥕
・火を通すことで消化しやすい
・体を冷やさない
・ゆっくり食べられる
この3つは、肝臓にとって大きなメリット。
特別なレシピはいりません。
冷蔵庫にある野菜を、
「煮るだけ」で十分です。
● 具だくさん味噌汁
実は、味噌汁は肝臓思いの一杯でもあります。
・野菜
・大豆由来のたんぱく質
・発酵の力
これらを、
一度に・自然な形で摂れるからです🍃
「野菜を増やしたいな」と思ったら、
味噌汁の具を増やすだけでもOK。
毎日の習慣にしやすいのも、
大きな強みですね。
● やわらかく調理した野菜
生野菜が悪いわけではありませんが、
脂肪肝で肝臓が疲れている時期は——
「消化にやさしい形」を選んであげてください。
・蒸す
・煮る
・さっと炒める
噛む回数が増えることで、
血糖の上昇も、吸収のスピードも
自然と穏やかになります。
▶ 肝臓は、“栄養の多さ”より
“入り方のやさしさ”を見ています。
野菜ジュースは、忙しい日の補助として。
日常のベースは、食べる野菜。
このバランスに気づいた人から、
少しずつ、数値も体調も変わっていきます。
次の章では、
「実は控えたほうがいい人の特徴」を、
責めずに、事実ベースでお伝えします🌙
こんな人は野菜ジュースを控えた方がいい

ここまで読んで、
「自分は大丈夫かな?」と、
少しだけ気になっている方もいるかもしれません。
この章は、
誰かを責めるためのものではありません。
肝臓からのサインに、
そっと気づくためのチェックです🍃
● 空腹時に一気飲みしている
朝起きてすぐ、
食事代わりにゴクゴク——。
実はこれ、
肝臓が一番びっくりする飲み方です。
空腹時は吸収がとても早く、
糖がそのまま肝臓へ直行します。
「手軽だから」「時間がないから」
その事情は、とてもよく分かります。
でももし数値が下がらないなら、
まずはこの飲み方を見直すだけでも十分です。
● 毎日2本以上が習慣になっている
「体にいいから」
「野菜不足が気になるから」
そんな思いで、
1日2本・3本と飲んでいませんか?
肝臓は、
“毎日休まず処理を続ける”のが苦手。
量を半分にするだけで、
負担がぐっと減る人も少なくありません。
● 数値がなかなか下がらない
ちゃんと気をつけている。
お酒も控えている。
それなのに——
AST・ALTが横ばい、
またはじわじわ上がっている。
そんな時は、
「良い習慣」の中に負担が隠れている
可能性があります。
野菜ジュースは、
その代表例のひとつです。
● 甘い味がやめられない
「これだけは楽しみ」
「甘いけど野菜だし」
そう感じているなら、
体ではなく脳が欲しがっているサインかもしれません。
この状態が続くと、
無意識のうちに糖を摂りやすくなり、
肝臓はずっとフル稼働になります。
いきなりやめなくていい。
まずは「量」と「頻度」を、少しだけ。
▶ これは、ダメ出しではありません。
肝臓からの「ちょっと休ませて」の合図です。
よくある質問(FAQ)
「ダメ」か「正解」かで切り捨てず、肝臓に負担をかけにくい“現実的な落としどころ”をまとめました🍃
朝ごはん代わりに野菜ジュースはOK?
基本はおすすめしません。特に空腹時の一気飲みは、吸収が早く、糖が肝臓に集中しやすくなります。
どうしても朝に飲みたいなら:
✅ 量はコップ1杯(約200ml)まで
✅ できれば「食事と一緒」か「食後」に
✅ たんぱく質(卵・ヨーグルト・納豆など)を少し添える
※体調や検査値によって調整が必要な場合があります。数値が改善しないときは、主治医・管理栄養士に相談を。
手作りスムージーなら大丈夫?
手作りは「中身を選べる」のが強みです。ただし、果物が多いスムージーは糖が増えやすいので注意です。
肝臓にやさしい寄せ方:
✅ 野菜メイン(葉物・きゅうり・セロリなど)
✅ 果物は少量(風味づけ程度)
✅ 甘さが欲しい日は“飲む”より温かい汁物へ
「甘くないと続かない」日は、無理に頑張らず、温かいスープや具だくさん味噌汁に切り替えるのも立派な選択です🍲
トマトジュースは別?
トマトジュースは、果物入りの野菜ジュースに比べて甘み(糖)が控えめな商品が多いため、選び方次第で取り入れやすいです。
選び方のコツ:
✅ 「食塩無添加」を選ぶ(塩分を摂りすぎないため)
✅ 量はコップ1杯(約200ml)まで
✅ 空腹時の一気飲みは避ける
※治療中の病気や体質によっては調整が必要なこともあります。気になる場合は医療者に相談してみてくださいね。
全く飲まない方がいい?
「絶対にダメ」ではありません。大切なのは、量・種類・タイミングを肝臓向けに整えることです。
条件付きでOKの目安:
✅ 野菜が主役の配合(果物が先頭に来ない)
✅ 1日200ml程度まで
✅ 食事と一緒/食後に
野菜ジュースは補助役。日常のベースは、噛める野菜(スープ・味噌汁・蒸し野菜など)に寄せるほど、肝臓はほっとしやすくなります🍃
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状がある方、検査値が大きく高い方、治療中の方は医療機関での相談を優先してください。
まとめ
脂肪肝と言われたとき、
「とりあえず野菜ジュースを…」と手に取るのは、
あなたが自分の体を大切にしたい人だからです🌿
だからこそ、今日いちばん伝えたいのは——
野菜ジュースを否定することではなく、肝臓に合う“使い方”に整えること。
この記事のポイント(おさらい)
✅ 脂肪肝でも野菜ジュースは条件付きでOK
✅ 問題になりやすいのは「糖(特に果糖)」と「噛まない吸収の速さ」
✅ 市販品は果物多め/食物繊維少なめ/安心して食事が乱れる落とし穴がある
✅ 選ぶなら「野菜が先」「量は1日200ml」「空腹時は避ける」
✅ 肝臓が本当に喜ぶのは温かいスープ・具だくさん味噌汁・やわらかい野菜
もし今日から一つだけ変えるなら、
私はこうおすすめします。
「飲む」より、まず一杯の“温かい汁物”を足す。
野菜ジュースをやめるより先に、
肝臓が落ち着く習慣をひとつ増やす。
それだけで、体の流れは静かに変わっていきます🍲
体にいいと信じて続けてきたことほど、
手放すのは勇気がいります。
でも、肝臓にとってのやさしさは、
いつも少し地味で、静か。
その“静かな選択”に気づいた人から、数字も体も変わっていきます。
あなたの肝臓が、少しでも楽になりますように。
そして、10年後のあなたが「やっておいてよかった」と思えますように🫶
参考・監修情報
「脂肪肝(NAFLD/NASH)」に関する解説・診療ガイドライン情報
https://www.jsh.or.jp/
Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases
https://www.who.int/
Nonalcoholic Fatty Liver Disease(NAFLD)関連資料
https://www.niddk.nih.gov/
注意書き
本記事は、脂肪肝や食習慣に関する一般的な情報提供を目的としており、
特定の食品・飲料・生活習慣の効果や改善を保証するものではありません。
体の状態や検査値には個人差があり、
同じ行動をとっても結果が異なる場合があります。
以下に該当する方は、
本記事の内容を参考にしつつも、必ず医療専門職へご相談ください。
- 健康診断で肝機能の数値が大きく高いと指摘されている方
- 脂肪肝以外の肝疾患を指摘・治療中の方
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症などの持病がある方
- 医師から食事制限や治療指示を受けている方
また、本記事で紹介している内容は、
医師の診断・治療に代わるものではありません。
体調の変化や不安を感じた場合は、
自己判断で対応せず、早めに医療機関を受診してください。
▶ 健康情報は、「正しさ」よりも「あなたに合うかどうか」が大切です。
本記事が、ご自身の体と向き合うきっかけになれば幸いです。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。
医療・健康に関する考え方や指針は、今後変更される可能性があります。


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